ウィルだよ!

ウィルだよ!

2016年12月31日土曜日

大みそかに。

今年もあと少しになりましたね。

皆さんにとって今年はどんな年でしたか。

私は、ご存知の通りの方もいらっしゃると思いますが、12月に入ってすぐ急性虫垂炎で手術、入院しました。
思えば、なって当然だったと思います。1週間ほど前から、隙間時間があれば横にならないと1日を過ごしきれない状態でした。仕事を少しペースダウンしないと、と思っていた矢先のことでした。
9月ごろから、このままではもたないな、と感じていましたが、診療体制や休みの見直しをする間も無く、とにかく毎日を無事に過ごすのことで必死でした。
きっと、なかなか休まない私に神様が強制入院!と言ったのでしょうね。
1週間ほどで復帰しましたが、ご予約いただいていた患者様、飼い主様には大変ご迷惑をおかけいたしました。申し訳ありませんでした。

出産の時もそうでしたが、今回も、いろいろな方からあたたかい言葉をかけていただきました。
多くの方が、「長く診てもらいたいから、ゆっくりやっていってね」「自分の時間ももつようにしてね」など、あたたかい言葉をくださり、本当にありがたいですm(_ _"m)
たくさん差し入れもいただきました。娘にはクリスマスプレゼントまでいただきました^^ありがとうございました。


今回の入院を通して、クリニックのあり方の見直しをちゃんとしなければと考えました。
飼い主さま、患者さまに、私たちに何ができるか、すべきなのか。

今、私たちのクリニックは、夫と私と、手伝いをしてくれている母で運営しています。
私は、鍼灸•漢方治療を専門にしていますが、私の技量とクリニックの機器でできる範囲の内科的治療、予防医療、しつけのご相談なども行っています。
外科手術はしませんが、その代わり往診にも時間を問わずお伺いしています。
夫は、トリミングとしつけ、診療の補助を行っています。ですので、トリミングを専門に行っているショップさんよりも、お時間をいただくことも多いです。

本来は、これくらい患者さまが増えてきたら、まず動物看護師さんを雇って、さらにクリニックの規模を大きくしていくことを検討すべきなのでしょう。

ただ、夫と私の今の状態で、誰かを指導して育てていく余裕はありません。
育児でものすごいエネルギーを使うし、きちんと体制の整っていない今誰かに入ってもらったとしてもその人を不幸にするだけです。
私たちのやりたい診療やトリミングを、今は、こじんまりでも丁寧にやっていきたい。それが今の私たちの想いです。

そんな中で、患者さまにご不便をおかけすることもあります。お断りしないといけない場合もあるのは本当に申し訳ないですが、私たちからも飼い主さまにお願いがあります。

私たちは、予約制で全ての診療やトリミングを行っています。それは、具合の悪い子たちを待合室で長くお待たせしないようにしたいのと、他のどうぶつや人と接するストレスをできるだけ少なくしたいからです。
また、鍼灸治療や往診は時間がかかります。決して効率の良い診療ではありません。それでもそういった診療が必要な子たちを大事にしたいと思っていますし、誰かがやるべき仕事なのだと思っています。
ですから、お願いしたお時間に来ていただけないと、次の患者さまにご迷惑をおかけしてしまいます。ご予約に遅れる場合はご連絡をお願いします。

また、緊急の場合でも診療をさせていただいていますが、状態によっては設備・人員の揃った病院さんに直接行っていただいた方が良い場合もあります。
「うちの子の具合が悪いって言ってるのに、なんで1番に診てくれないの?!」と頭ごなしに怒る飼い主さまもいらっしゃいますが、うちは獣医師が私1人だけですから、もちろんすぐ診てあげたいですが、できることにも限界があります。他の患者さまも、順番を待っていらっしゃいます。どうしてもすぐに診てもらいたいのなら、どんな状況でもすぐに診てもらえるような緊急対応の先生がたくさん揃っている病院さんを、日頃から探しておくべきです。

また、緊急でなくても、こちらの休みの日や時間帯に診て欲しい、ホテルのお預かりやお返しをして欲しい(当然のように、できるわよねという態度で)と言われても、すみませんがそれは無理です。私たちにも家庭があり、体力が無限にあるわけではありません。夜中にチェックイン•チェックアウトしたいのなら、24時間営業のペットホテルを探してください。

お電話で、「うちの子がこんな症状なんだけど、大丈夫かしら?」と問い合わせされる方も多いですが、診ないでは何も言えません。特にそういう方は、普段うちにかかっていない方が多いです。かかりつけさんに、聞きたいことが聞けないからうちに聞くのでしょうか。専門家の意見が無料で聞きたいのなら、専門家の友達を作るべきです。私は、電話相談室ではありません。ご来院いただいている患者さまにとっても不公平になります。
お電話でのお問い合わせは、新規の方で当院での治療を受けてみたいけれど・・・という方や、継続治療の方に限らせていただいております。

待合室にたくさんの患者さんが待っていないから、普段そんなに待たないから、自分の都合の良い時間に合わせてもらえると思わないで欲しい。私たちは、裏で検査や薬の処方、入院患者さんの処置、その他いろんなことを行っています。

できるだけ、多くの患者さんに良くなっていただきたいし、トリミングやホテルをご利用いただいて本当に感謝しています。

私も親ですから、夜中に娘の具合が悪くなったときに#9119に電話して対応を聞いたこともあるし、自分が虫垂炎の時は、夜間救急にかけこみ、そのまま入院になりましたので、緊急対応してくれる病院のありがたさはよくわかります。
これは動物病院業界の、これからの課題でもあると思います。

ただ、近くでも、遠くからでも、私たちを信頼してきてくださる方々に、わたしたちのできる1番良いと思う診療やケアを行っていきたい。そのために、少しずつクリニックの在り方も変えていきたいと考えています。



12月は、私も大切に思っていた患者さまが相次いで亡くなりました。
ふたりとも、毎週鍼灸に来てくださっていた&往診で鍼灸をさせていただいていた患者さまでした。

ふたりとも、本当に病気が悪化するまで、その子たちらしく過ごせていたと思います。
きっと、飼い主さんたちに感謝いっぱいで、虹の橋を渡っていったと思います。

診療最終日に亡くなった子は、前日の晩に緊急で診させていただいたとき、もしかしたら、もう少しで命の灯が消えるかもしれない、という脉をしていました。

飼い主様のご希望で、無理な延命はしないけれど、痛みや苦しみをできるだけ取り除いてあげたいということで、いつもの鍼灸治療をすることになりました。

鍼灸をさせていただいて、苦しそうだった呼吸が、少し楽になってくれたようです。
その子は数時間後に、静かに息をひきとりました。

鍼灸中に、その子が何度か顔をあげてこちらをじっと見つめてくれました。
ほんと自分勝手な解釈ですが、「今までありがとね。アナタもがんばってね」とか、言われているような気がしました。

鍼灸治療をしていると、高齢の子を診させていただく機会が多くあります。
だから、お別れも多い。
友人よりもお会いする機会が多いですから、その子たちとお別れするのは、本当に寂しいことです。

でも、どんな子も、寿命が長かろうと短かろうと、大事にされている子は、皆闘病中でも良い目をしていると感じます。そして、お別れしてからも、きっと、また何らかの形で会えるのでしょう。

どんな命にも肉体的な終わりはきます。
だから、限られた命の中で、出会った子たちにはできるだけ良い犬生、猫生を送って欲しい、そう思います。そのお手伝いが、私のやりたいことであり、私のできる方法を、背伸びせず丁寧に行っていきたいと思います。


さて、来年の目標はどうしようかな!
目標とかいうと、私を知っている人は、「目標とかいいから、ちょっと休みなよ」と言われそうです。

来年は、自分と家族の健康を守れるように、自己コントロールをちゃんとできるようになります。

今年も大変お世話になりました。
皆さんにとって、2017年も良い年になりますように。