ウィルだよ!

ウィルだよ!

2014年8月27日水曜日

まず、知ろうとすること

今日の往診は、大学時代の友人の獣医師が見学に来てくれました。

どんな様子で往診や鍼灸をしているのか、ちゃっかり保定(どうぶつも人もケガをしないようにどうぶつを支えること)も手伝ってもらいながら、見てもらいました。
初めてにも関わらず、すっかり飼い主さまたちとも馴染んでいてさすがです!(^∇^)
快く迎えてくださったご家族と患者さまにも感謝です。
ありがとうございました。

「こんなことをやってる人がいるんだなぁ」とか、「こんな方法もあるんだ」とか、
いつもいる世界から一歩出てみると、一気に視点が自由になったりするんですね。
自分の中でこだわっていたことが実はそれほど大きな問題ではなかったり、
逆に自分が大事にしたいことがわかってきたり、頭の中がミックスされてから次第に整理されていく感じです。

まずは見ること、知ること。
そこから自分で取捨選択していけば良いのかな、と思えるようになってきました。


さて昨日は、ドッグトレーニングスクール主催のセミナーに参加してきました。

スウェーデンのドッグトレーナーで動物行動クリニックを運営されているヴィベケ・S・リーセさんと、スウェーデン在住の動物レポーターでドッグトレーニングの本の翻訳などもされている藤田りか子さんが講師でした。

犬の「気質」…簡単に言うと、遺伝する性格(厳密には違いますが)について、
スウェーデンでどのようにテストが行われているかや、犬がストレスを感じるとどのような行動が現れるかなど、日々の診療にもすぐに活かせそうな内容でした。面白かったです!

そういえば、昨日初めて診察させていただいたチワワさんも、初めは身体がカチンコチンで緊張し、突然、噛んできたりしましたが、鍼灸をするうちに、みるみる目がとろ~んとして体も緩んできてくれました。
わかりにくかったけれど、はじめは、こわい!というシグナルをガンガン出していたんですね。
病院や診察台の上での恐怖心や、そこからくる攻撃行動は、今までたくさんどうぶつにとっての恐い思いをしてきて、もし良いことがひとつもないような状態だったら、当然のことでしょう。
それをどのように緩ませてあげるか、日々模索中です。

セミナーを聴いて、
犬の気質について理解することの大切さを痛感しました。
その犬種がどんな仕事をするためにつくられてきたのか理解することは、私たちが今お家で一緒に暮らしている犬たちの行動をより良く理解することにつながります。

例えばレトリーバーだったら?テリアだったら?
犬種によって、例えばおやつに対する熱心さも変わってきたりします。
人が問題だと思っている犬の行動も、犬としては当然ということもたくさんありますね。


人もどうぶつも楽しく暮らせるように、今お家にいるどうぶつたちのこと、もう少し深く知ってみましょう。きっともっと好きになると思います!



2014年8月24日日曜日

「気」ってなんでしょう


日々、診療を通して、貴重な体験をさせていただいております。
貴重と言っても、特別難しいことをしているわけではないのですが。

鍼灸治療をするに当たっては、まず今までのその子の歴史を全部お聞きして、
飼い主さんの悩みもお聞きして、その子の苦しいところを あぁかなこうかな って考えていくわけです。
きっと、神レベルのお師匠様方だと、ちょっと聞いただけ、脉をみただけでも診断できてしまうのでしょうが…^_^;

そうやって治療を進めていくうちに、自然と色々なお話をするようになるので、
私自身のことも話したりしますし、飼い主さんのどうぶつに対する思いも聞けたりして、
私もとても勉強になるのです。
その子の表情の変化や、もちろん飼い主さんの雰囲気の変化もわかるようになってきます。
私にとっては、それが貴重なことです。

「病は気から」と言いますが、本当にそうなのですね。
中医学でいう「気」というのは、
生命を構成する基本物質のひとつで、私たち生き物が生きていくのに必要な、高いエネルギーをもつものです。
からだの成長や発育を促進するのも、からだを温めたり、例えば風邪をひかないように守ったりするのも、気の働きです。

目に見えないもの、数字で表せないものを全く信じないという人もいますが、
人を好きになることも、気持ちが通じ合って嬉しかったりすることも、「あの人にはオーラがあるね」と言ったりすることも、
私たちの日常は、目に見えないものばかりです。それを体感しながら、一方で否定するのはおかしくないでしょうか。
医療も、同じなのではないでしょうか。

もちろん、例えば怪我をして、きちんと消毒をしてお薬を飲めば治るよ、というものだったら、消毒をしてお薬を飲んでしまえば良いのです。

ただ、そういうことだけでは癒されないものがこの世界にはたくさんあると思います。

理論や数字に傾き過ぎな頭を、もう一度柔らかくする必要が、私たちにはあるようです。

こんな話ばかりしていますが、治療の際に高価な壺(?)とか売ったりしてませんから、ご安心ください。
宗教じゃありませんから(笑)

それに、日々一般診療の自分の未熟さも痛感しているので、そちらも精進していきます!

2014年8月20日水曜日

言葉にしてみよう

少し涼しくなったと思ったら、また暑い日が続きますね~!!

昨日は、以前お世話になった獣医師の先生が一昨年ご開院された動物病院の見学をさせていただきました。
私に診療の基礎を教えてくださった先生です。
相変わらずのサラッとした雰囲気で(見習いたいですね~)、サラッと背中を押してくださいました。

このブログも、いろんな方に
「読んでるよ~」とか「楽しみにしてるよ~」なんて言っていただけると
ほんとうに嬉しくなります。

自分の真剣な考えを言葉や音にして出すというのは、勇気のいることです。

批判されたり、「それは間違っている」と言われる可能性もある。
それでももし、小さな共感や、「そういえば」みたいな小さな気づきを誰かが持ってくれたら、
それはとても嬉しいことです。
そうやって、目に見えないエネルギーは伝わっていくのだと思います。

改めて、自分は周りにたくさん助けられて生きている、と感じる日々です。



さて、今日は薬膳を意識した夕ごはんその2。
かぼちゃ入りのハンバーグと麻婆茄子にしてみました~

飼い主様にいただいたナス、旦那さんの実家でとれたかぼちゃ など
食卓も周りの施しでかなり助かっている次第(笑)

私はお世辞にも料理が得意とは言えないですし、
同世代の女子たち(時に男子たち)がFacebookなどにつくった素敵なお料理を載せたりしているのを見ると
「女子力(主夫力?!)高いぞ~!」とつくづく感心してしまうのですが、
私は夫(と犬)が おいしい と言ってくれるので それでよし。^^

ちなみに、前回の薬膳の記事の際も、ハトムギ と書きましたが
学院の薬膳の先生に教えていただいたのが、 ハトムギ粉 です。
ハトムギは、漢方でいうと「薏苡仁(ヨクイニン)」です。
むくみをとったり、胃腸の働きを良くする働きをしてくれます。

「健康食品のお店などで買うと安いですよ」 ということで、
探したのですが見つからず、結局Amazonで購入。

香ばしい香りです。今日はハンバーグに練り入れてみました。

人用には少し味気ないハンバーグになってしまいましたが、
ウィルはモリモリでしたね~

かぼちゃも健脾の働き
なすも血行促進
と、それぞれいろんな良い作用があるのですね!

ふだん自分から買わない野菜なども、良いところを知ると以前より好きになったりします。

犬も人も夏バテをしないように、無理せずいきましょう~!



2014年8月16日土曜日

滑らない話

先日、ウィルのいるお部屋の 床の滑り止め対策をしました。

敷いていた滑り止めマットがボロボロになってきたため、張替えを行ったのでした。

どうぶつにとって、フローリングで滑ってしまうということは、大変な足腰の負担になります。
関節を傷めてしまったり、椎間板ヘルニアのような病気を引き起こしたりします。

若い子でも歳をとった子でも、滑るのが良くないのは変わりません。


ホームセンターなどでも、ペットの滑り防止用のマットの種類が増えましたね〜!
ケージの下に敷けるようなものから、自分でカットするタイプなど様々です。

どうぶつに対する意識の高まりを感じます。


こういうものを使ってみました。












↑木目調のシートですが・・・
↓拡大すると小さなピラミッドがたくさん並んだ形をしています












今回が何回目かの張替えだったにも関わらず、
(そして、旦那さんに手伝ってもらったにも関わらず…)
チョキチョキペタペタしていたら3時間半もかかってしまいました!!
でもおかげで良いグリップです♪

他にも、面積に合わせて組み合わせて張るコルクマットや、人用のヨガマットも、
簡単に使えて便利です。


張替えの間中、ウィルはうつらうつらしながらなんとか一部始終を見守っていようと、
がんばって目を開けて、大きな顔で作業をのぞきに来たり(応援という名の邪魔)
…やっぱりお歳なので、途中で寝てしまったりしていました。

それに加えて、ウィルくん、9年ぶりの爪切りもしました!

爪が長いと、床滑りや爪折れなどの危険があります。
歩いているときに爪がカチカチなったりしていませんか?それだと爪が伸びている証拠です。

最近、歩くのもゆっくりになって 距離も短くなったため、
今までお散歩で自然に削れていた爪が、徐々に伸びてきていたのでした。

9年前、ウィルをお家に迎える際に張り切って買った超大型犬対応の爪切り(何かの工具みたいにゴツいです。笑)が、再び陽の目を見たのでした!


自分の部屋の片づけなどはいつも後回しにまってしまう私ですが、
愛犬のことになると、行動が早い(笑)

犬や猫は、私たちの何倍も速く歳をとります。
「そのうち」と思っていることを、やらずに後々後悔するより、
明日、やってあげませんか。






2014年8月12日火曜日

何になりたいの?


私は獣医師ですが、
自分が何になりたいのか実はまだよくわかりません。
「何になるか」というのは、「何て呼ばれるか」とは違うこと。「ひととして、どうなりたいか」ということです。

動物が好きだけれど、「動物の病気」が好きなわけではない。つまり、病気だけ相手にしていたいわけではない。
知ることは好きだけれど、勉強だけできれば良いと思わない。学校の勉強ができても、ひととして未熟な人間はいる。

はっきりわかっていることは、
自分の得たものを、
自分の力の及ぶ範囲、
自分の背伸びしない範囲で
動物とひとに還元したいということです。
ここで言う「得たもの」とはセミナーで得た知識とか、習得した技術だけではなく、
自分が感じてきたこと、
直感として正しいと思うこと
全て含めてです。

私はまだ若いので(20代ですから、人生の先輩方から見たら、まだ若いのです)
私の中にあるものなど、まだまだ少ない。
ひとの役に立つかどうかもわからない。

ただ、大学生の時に、恩師が私に教えてくださいました。
その人の人生には、何か必ず、お務めとして成し遂げることがある、と。

それに気づくか気づかないかで、人生の意味は大きく変わってくるといいます。

私はまだ、気づいてはいません。
探している段階です。

探さなくても、生けていけます。その方が楽かもしれません。ただ、探さないと苦しい人種もいるのです。

そして、自分を構成する要素になるようなものが、少しずつ見つかると、幸せを感じられるのです。

こういうことを考えていると、大抵変なヤツとか、面倒な子とか、病んでいるヒト、なんて思われてしまうのですが、
私はとても大事なことだと思います。
それに私は今自分をとっても健全だと思っています(笑)


苦しみの中で自分を見つめる時、ひとは成長するのだと、
その後には必ずキレイに磨かれたものが自分の中に残るのだと
今なら言えます。

だから私は獣医師である前にひととして、
自分にできることをやっていきます。




2014年8月8日金曜日

ウィルです。

病院の名前にも採用した、
愛犬ウィルについて、ご紹介します。















バーニーズマウンテンドッグの男の子 9歳

好きなこと:車でお出かけ! 人の足の上に座ること。
嫌いなこと:せかされること(つまり、とってもマイペース。でも、気遣いなところも)・・・誰に似たんでしょうか。

小さいころからペットと泊まれるペンションに一緒に泊まったり、
ゴンドラリフトに乗ったり、気球に乗ったり(!)

いろんな体験を一緒に共有してきました。
かけがえのない家族です。

超大型犬ですから、9歳は、けっこうなお歳です。

以前から弱ってきていた脚ですが、3月には一度立てなくなり、おしっこやうんちの介助を母と二人がかりでしたり、
旦那さんに手伝ってもらってお家で採血をしたり、
いよいよ介護か!と思っていましたが、
お薬と、マコモと、マメなお灸で、立てなかったのがウソみたいに元気にお散歩しています。
でも、やっぱり、最近はまた、えっちらほっちら、歩くようになってきました。
それでも、気持ちは元気ですね~
気持ちの元気って、表情に表れますね!


元気になった記念に、一緒に写真を撮りにいきました。
今は、わんちゃんと一緒にスタジオで記念撮影できるところが増えていますね!

このブログで使っている写真も、そこで撮ってもらったものです。
http://410319.blog98.fc2.com/
















↑全然似合わないけど、うきわをかぶせてみたら、ちょうど良い顎のせに(笑)

















↑自分が映ることをあまり考えずに超私服で行ってしまいました(笑)
それにしても、並ぶと大きいなぁ!


犬で人生が変わることってあります。
ウィルは、私の人生にとって大切なことをたくさん教えてくれる、神様の使者のような存在です。
ときどき悪魔みたいに小憎らしく感じることもあるけれど、この子と最期まで責任もって一緒にいてあげたいです。
ずっと一緒だよ。

2014年8月5日火曜日

読書感想文です

読み終わりました。







「面白い」という内容ではないのに、
時々、クスッと笑ってしまう。
「そうそう!」とか「だからか〜」と、同調したり納得したりしっぱなしでした。

この本には、女性が働いていく上での、世間的(と言っても、世界レベルでの世間)な偏見や障害、男性だけでなく女性自身が陥りがちな先入観などとどう向き合っていくか、著者や多くの女性の体験を元にリアルに書かれています。
これから組織のリーダーを目指す女性、自分にはリーダーなんて無理と思いながら働いている女性、仕事を諦めた女性、専業主婦…(つまり全ての女性)と、もちろん、全ての男性向けにハッキリとしたメッセージを発信しています。

私も、どれだけ目が覚めたことか。
私は大学時代、女性として働いていくということをあまり意識していませんでした

それが、初めに勤めた病院を経営する会社に面接に行ったとき、その面接官に質問はあるかと聞かれたので、
「この会社は産休や育休などはどうなっているのですか」と質問したところ、
「プライベートなんか捨てて仕事だけに集中してなさい」
と言われました。
その後、その面接官が、私のことを「生き急いでいる」と言っていたと伝え聞きました。

残念でした。
獣医師は、勤務時間的にも体力的にもキツイし、はじめの3年間は「研修医」扱いですから、とにかく仕事に打ち込んで技術と知識を磨くというのは、納得できることです。

しかし、女性が生きていく上で、不安となる結婚や出産について、聞くことのどこが「生き急いでいる」ということになるのか。女性に優しい職場を目指すのではなかったのか。
獣医は仕事だけしてれば良いのか。
それで身体を酷使し心も病んで、辞めていく獣医がいるのに、いろんな病院で同じことが繰り返されている。それで良い治療ができるのか。

この本を読んで、同じような傾向が、世界的にどんな社会でもあるのだということがわかりました。
またそれが、男性から女性への差別だけでなく、専業主婦から働く女性への差別、またその逆と、女性同士でも起こりえるのだと知りました。

私は、偏った献身や犠牲をせずに、家庭を大事にしながら、誰に対しても罪悪感を感じずに働き続けたいと、心から思います。
そして、自分とは違う選択をした人を、今度は自分が貶めるようなことは絶対にしないようにしようと、この本を読んで改めて思いました。



思い出しトゲトゲしてしまいました(思い出した事柄に対して、心がトゲトゲチクチクすること)
トゲトゲすると、大抵批判したがる人が出てくるのであまり出さないようにしているのですが、
私のような働き方もあるのだと、「一般的」からはみ出してしまった私から、言うことにも何か意味があるかと思い書いています。

これは、理想というより、己をなかなか肯定できない自分への喝です。

次回は、もっと楽しい内容にします(笑)



2014年8月1日金曜日

好みのタイプは

毎日とっっても 暑いですね~!
どうぶつも、人と同じでクーラーの効かせすぎには注意です。
「寒邪(かんじゃ)」が身体に入ると、夏風邪を引いたり、腰痛がひどくなったり、弱いところに症状が出たりします。

私も最近は腰痛が…
我が家のシニア犬と一緒にゆるゆるとお散歩しています。

さてさて、「今日のわんこ」ならぬ、「今日の患者さま」@老犬クリニック












ジャーマンシェパードの男の子です。
お灸中の様子。
ちょっと‘困った顔’がかわいいですね!
前回の猫ちゃんに引き続き、飼い主さまのご了承を得て載せさせていただいております)


私はどうぶつは大きいのから小さいのまで何でも好きですが、
大型、とくに超大型犬が大好きです!!
えこひいきはしませんが、来るとテンションが上がります。笑
これは変えがたい事実なので言っちゃいます。
治療しながら、マズルを触らせてもらったり、大きな耳を覗かせてもらったり、自分も癒されてます。笑

このシェパードくんも、来たときはなんだかしょんぼりな顔をしていたのですが、
鍼灸をしたら、顔つきが「キラッ」と変わりました。
その後、おやつを使ったちょこっとトレーニング(自分で立ち上がって歩き、オスワリとフセをする)をしましたが、楽しそうでイキイキとしていたので、
ドッグトレーニングの知識がここで活きてくれたのかな~と嬉しくなりました(^^)

思うように歩けなくなって、一番イライラしたり落ち込んだりするのは、どうぶつたちです。
でも、人と同じようにどうぶつも歳をとり、立てなくなるときがきます。

そんなとき、どうしたら良いのか、日頃からご家族で話し合われてみてください。わからなかったら、ご相談ください。
魔法は使えませんが、一緒に考えて、行動することはできると思います。